モルドバの気候について
モルドバは大陸性気候(北・北東部からの影響)と海洋性気候(西・南西からの影響)の狭間で、春と夏が長く、秋・冬が比較的に短い気候です。一日の気温の寒暖差(昼・夜)、一年の気温の寒暖差(夏・冬)が極めて大きいのが特徴です。
夏季は気温が上昇し、大陸が低気圧になるため降水は初夏に集中しますが、降水量は少なく、夏季も快晴の日が多く湿度も低く、昼夜の寒暖差も大きいのが特徴です。そのため地表の気温は上がりますが、夜間は地面から熱が放出されて気温が低下します。
10月の下旬から1月の下旬頃にかけて北東部よりサイクロンの通過が何回かあり、風速も最大で20メートルと強くはありませんが、気温が−25℃になることもあります。冬季は風が弱く湿度は低いです。高気圧が発達しやすく水蒸気の供給量が少ないため快晴の日が多く、また日中は直射日光が強いのが特徴です。そのため地表の気温は上がりますが、夜間は地面から熱が放出されて気温が低下します。これらの自然から与えられた条件を重ね合わせて見るとモルドバが如何に葡萄栽培に適した国かが良く分かります。
| モルドバの春 3月〜5月
| モルドバの夏 6月〜8月
| モルドバの秋 9月〜11月
| モルドバの冬 12月〜2月
| モルドバ北部(Divin)地域の気候
Divin(ディヴィン)地域は冬に降雪があり寒冷で、夏から秋にかけては温暖で乾燥しています。日較差も大きく、モルドバ国内で最も大陸性気候の影響を受ける地域です。ここではワインスピリッツ(ブランデー)用の30品種を超える白葡萄が栽培されていて、酸味を基調とした素晴らし白ワインが造られています。
年間日照時間: 2100時間
年間降水量: 520~620ミリ
| モルドバ中央部(Codru)地域の気候
Codru(コドル)地域の冬は時折降雪もあり寒冷ですが、3月頃になると花々が一斉に咲き始めます。これをモルドバの人はプリマヴァーラと呼び、春の訪れを告げます。日本と同じく6月頃に梅雨を迎え、この季節が終わると本格的に夏が到来します。朝の6時から夜10時頃まで明るく、昼頃には気温が38度以上も上昇しますが、夜は18℃程度に下がる為、真夏でも長袖の服が必要になるくらいの寒暖差があります。湿度が低いので昼間の暑さにジメジメ感は無く、オークや菩提樹の森を通して吹いて来る風は、日陰に居るとちょうど良い心地よさを感じます。コドル地域では森林が全体の25%を占めていて、葡萄畑に程よい影響を与えています。モルドバ国内で有数の白ワインの産地であるこの地域では、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランや土着品種のフェテャスカ・レガーラ、ヴィオリカなど上質の白葡萄が栽培されています。8月下旬から9月上旬、雨は殆ど降らないのでこの時期から葡萄の収穫が始まります。コドル地域で生産される白ワインの味は、柔らかく新鮮な酸味があり、はっきりとした花の香りがあります。
年間日照時間: 2135時間
年間降水量: 550~680ミリ
| モルドバ南東部(Stefan Voda)地域の気候
Stefan Voda(シュテファン・ヴォダ)地域はコドルの気候と類似していますが、地形的には低地です。ドニエステル川西岸斜面に広がる葡萄畑は黒海から程よい風を受け、昼夜の寒暖差と供に葡萄に大きなインパクト与えることで、良質で完璧な赤ワイン用の葡萄が栽培されます。土着品種のララ・ニャグラ、フェテャスカ・ニャグラ、ピノ・ノワール、メルローなど、この地域で造られる赤ワインはスミレやクロフサスグリ、ブナの樹の混じった豊かなブーケがあります。
年間日照時間: 2,200時間
年間降水量: 450~550ミリ
| モルドバ南部(Valul lui Traian)地域の気候
Valul lui Traian(ヴァル・ルイ・トラヤン)地域は地中海と気候がよく似ていて、夏は温暖でからっと晴れた日が多くなり、湿度も低く、16時間以上もの長い日照時間があります。昼と夜の温度差が10℃と激しく、冬は海洋性気候の影響で他の地域より温暖で短いです。また特有の土壌ーニストル川とプルト川沿いの斜面地にある葡萄畑の実に、糖分がより豊富に蓄積されやすいのです。カベルネ・ソーヴィニヨン、シラーなど赤ワイン用品種が一般的に栽培されています。この地域は凝縮した香りがするフル・ボディーのワイン造りに適しています。またモルドバ国内最高級の赤のデザートワインを生産していることでも有名です。
年間日照時間: 2,500時間
年間降水量: 350~500ミリ