文化と芸術について
モルドバは著名な文学者、音楽家、芸術家をたくさん輩出しています。 日本では2003年にヒットしたポップ・ミュージックの「恋のマイアヒ」が有名かもしれませんが、世界的にはイエヴゲニ・ドガが映画音楽の大家として高く評価されています。 チェーホフ唯一の長編小説「狩場の悲劇」の映画化(1978年)ではイエヴゲニ・ドガが音楽を担当し、婚礼のシーンで流れるワルツは世界で最も美しいワルツの一つであると絶賛されました。
またモルドバの文化には、文学、劇場、音楽、美術、建築、映画撮影、放送、テレビ、写真芸術、デザイン、サーカス、民俗芸術、図書館、書籍編集、科学研究、文化観光など、多様な文化活動が存在しています。
|舞台芸術
モルドバには3つの舞台芸術の公演機関があります。
1つがセルゲイ・ルンケビッチにちなんで名付けられた国立フィルハーモニー、 もう1つは室内オーケストラと室内合唱団が公演を行うオルガンホール、そしてマルチショール(3月)の時期に「JOC(ジョック)」という民謡と踊りの芸術的なアンサンブルを行う国立宮殿(コンサート組織「モルドバ-コンサート」)があります。
|JOC(ジョック)
モルドバの国立アカデミックフォークダンスアンサンブル「JOC(ジョック)」は、モルドバのフォークダンスにちなんで名付けられた最も古いダンスグループの1つです。このJOC(ジョック)には複数の意味があり、ラテン語の「Jocus(ジョカス)」- 喜び、楽しさ、音楽を聴きながら踊ること - からも由来されています。モルドバの3月の時期に行われる春をお祝いする「マルチショール」の時期に、このアンサンブルを見に多くの国民が国立宮殿へ集います。アンサンブルのレパートリーにはモルドバの人々の儀式、伝統、民族衣装を示すさまざまな民俗舞踊が含まれています。数多くのコンサートで、JOCアンサンブルは常に楽しさと喜び、活気のある音楽とダンス精神で現在も多くの聴衆を喜ばせています。
|ファイン・アート
絵画、グラフィック、彫刻の他、ここ数年では「ビデオアート」「キネティック彫刻」「コンピュータグラフィックス」「ボディアート」「パフォーマンス」などのアートが登場しました。モルドバのフォークアートには様々なジャンルやタイプがあり、装飾芸術に影響を与えています。陶器、カーペット、伝統的な衣装、石工、木工、革、棒、金属加工、おもちゃなどがあります。モルドバのFine Artsが見られる展示会場としては「Constantin Brancusi展示センター」、「モルドバ国立美術館」などがあります。
|劇場
モルドバ共和国には18の演劇劇場とオペラやバレエの劇場、民俗劇場、また2つの人形劇場など、合計22の劇場公演機関があります。そのうち17の劇場が首都キシナウに位置し、5つは他の地域に位置しています。
大きな劇場の演劇グループは海外のフェスティバルへ参加したり、国内での国際フェスティバル開催や、様々な国々へツアーを行っています。
モルドバ国立オペラ・バレエ劇場
モルドバ人形劇場
人形劇ショー
|民族伝承
モルドバの民俗伝承はダキア-ラテン語起源の深い基盤を持ちつつ、大衆的な体系を受け入れています。
音楽、ダンス、口承詩、散文、神話、儀式、人気劇などの伝承はあらゆる面でモルドバ独特の価値の広さを表し、文化形態に先立つだけでなく、民族の独自性を職業文化に付与する近代においても発展を続けています。
|文化遺産
考古学的遺跡、古民家、古い町並みや集落、古い通り、貴族の別荘、要塞、修道院、教会などがあります。また美術品、石造りの城砦、記念的モニュメント、町の広場、宿泊施設、村落、都市部、伝統的建築が並ぶ地域など様々な価値を持つ文化的遺産があり、これらはモルドバの87の国立博物館が所有しています。
|考古学的遺産
モルドバ共和国の考古学的遺産は古代の芸術作品にも及び、新石器時代の後期までさかのぼる彫刻模型が発見されています。紀元前5,500年〜2,750年頃に栄えた「Cucuteni‐Tripolie(ククテニ・トリポリエ)」文化の陶磁器はモルドバ共和国のいくつかの地域で発見されており、セラミックの加工に高度な技術を持っていたとされています。ククテニの器はさまざまな形をしていて、赤、白、黒などのカラフルなデザインで装飾されています。
|少数民族の文化
モルドバ共和国には多くの民族との文化協会があります。複数の少数民族と社会、組合、センター、文化財団などの形態で活動する団体があります。
首都キシナウにはロシア劇場「A.P.Cehov」があり、ガガウズ自治区にあるチャドル=ルンガにはガガウジア劇場「Mihail Cekir」、南部の都市タラクリアにはベサラビア出身のブルガリア人劇場「Olimpii Panov」があります。